書評 第16回女による女のためのR-18文学賞友近賞「月と林檎」

第16回(2017年)女による女のためのR-18文学賞友近賞受賞作 「月と林檎」 伊藤万記 肩の故障で野球ができなくなった女子高校生の早希は、美術の課題で残され、講師の塔田と距離が近くなります。 静かな筆致で描かれる女子高校生と教師の物語ですが、怪しい雰囲気 になりそうなところで留めています。それがこの小説を独自のものにしています。 塔田にしても結局は、才能がありながら画家…

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書評 第16回女による女のためのR-18文学賞大賞・読者賞 「アクロス・ザ・ユニバース」

第16回(2017年)女による女のためのR-18文学賞大賞・読者賞受賞作 「アクロス・ザ・ユニバース」 白尾 悠 父親に抑圧された女子高校生の智佳がちょっとした冒険を試みる、完成度の高い受賞作です。 地元の国立大学もA判定の智佳は、大好きなホラー映画監督の講演会を聞くために、上京します。その高速バスのなかで、それまで接点のなかった同じ学校のギャル優亜と一緒になります。 ホ…

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書評 第15回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞 『縁見屋の娘』

第15回(2016年)「このミステリーがすごい!」大賞優秀受賞作 『京の縁結び 縁見屋の娘』 三好昌子 タイトルから予想される、仲人による人情話ではなく、怪奇時代小説でした。 京の口入屋「縁見屋」は、男児が生まれず、娘は26歳で死ぬといいます。実際、一人娘のお輪の母親も祖母も曾祖母も生んだのは娘一人で、26歳で突然死にました。 そんな祟りのような、呪いのようなものにおびえなが…

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書評 第15回「このミステリーがすごい!」大賞隠し玉 『スマホを落としただけなのに』

第15回(2016年)「このミステリーがすごい!」大賞隠し玉 『スマホを落としただけなのに』 志賀 晃 派遣社員として働く麻美は、彼氏のスマホを拾った男から連絡をもらいます。結局、男とは擦れ違いのまま、スマホは手元に戻ってくるのですが、そこには大きな落とし穴がありました。 拾った男はスマホの待ち受け画像の麻美を気に入り、スマホのデータを盗み出し、ストーカーに発展します。ネットの粗い…

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書評 第52回メフィスト賞 『誰かが見ている』

第52回(2016年)メフィスト賞受賞作 『誰かが見ている』 宮西真冬 異色のメフィスト賞受賞作でとても興味深く、またストーリーにのめりこんで読みました。 ブログのなかで「あこがれの存在でいたい」千夏子は、保育園に通う子ども愛せないことで悩み、摂食障害になります。 仕事に疲れた保育士の春花は、理想のフィアンセと巡り合います。 百貨店のブティックに勤める結子は子どもがほし…

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書評 第15回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞 『県警外事課 クルス機関』

第15回(2016年)「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞受賞作 『県警外事課 クルス機関』 柏木伸介 神奈川県警外事課・来栖惟臣は「歩く一人諜報組織」と異名をとる公安捜査官。絵に描いたようなキャラクターなのですが、物語設定と展開がすさまじいので、それで十分に相殺されます。 彼が対象とするのは、朝鮮人民軍総参謀部偵察総局工作員の呉宗秀(オ・ジョンス)。尾崎陽一と名乗り、日本人にな…

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書評 第20回日本ミステリー文学大賞新人賞 『木足の猿』

第20回(2016年)日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作 『木足の猿』 戸南浩平 明治となっても友人の敵討ちのために奔走する奥井隆之。武士の魂を忘れられない。しかも彼は事故で左足の膝下を断絶し、義足となっています。木製の義足と皮膚のこすれ合いが痛々しい。 世の中では南蛮人連続殺人が起き、それに奥井と、元忍びの玄蔵が挑むという、時代小説っぽい雰囲気とハードボイルドをかけあわせています…

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書評 第15回「このミステリーがすごい!」大賞 『がん消滅の罠』

第15回(2016年)「このミステリーがすごい!」大賞受賞作 『がん消滅の罠 完全寛解の謎』 岩木一麻 ステージ4の末期がんが消える――。今や日本人の二人にひとりはがんに罹る時代なので、このテーマは興味をそそられます。 しかし、文章がまわりくどい。出版に当たって加筆されているようですが、推敲されていない文章が多く、その感覚がわかりません。 さらに医療小説なので当然説明が多くな…

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書評 第29回小説すばる新人賞『星に願いを、そして手を。』

第29回(2016年)小説すばる新人賞受賞作 『星に願いを、そして手を。』 青羽 悠 あまーいタイトルから不安はありましたが、内容もあまいもので、どうしてこの作品が受賞したのかわかりません。 中学時代の同級生祐人、春樹、理奈、薫の4人は、25歳で再会をします。毎日一緒に過ごしていた仲良しでも、この頃になるとほとんど連絡を取らず、祐人が地元の役所に就職したにも関わらず、会っていません…

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書評 第8回日経小説大賞『姥捨て山繁盛記』

第8回(2016年)日経小説大賞受賞作 『姥捨て山繁盛記』 太田俊明 日経小説大賞も年々軽くなっていきますね。 タイトルも内容を表わし過ぎて、本を開く前から読んだような気になりますし、物語も予定調和でサプライズが全くありません。 物語展開ありきの人物設定で、残念でした。 昭和30年代に大きな水害によって祖父、母、弟、妹を失った桝山太一は、高校から故郷の穂津盆地を出て一人…

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