書評 第15回「このミステリーがすごい!」大賞隠し玉 『小さいそれがいるところ』

第15回(2016年)「このミステリーがすごい!」大賞隠し玉 『小さいそれがいるところ 根室本線狩勝の事件録』 綾見洋介 母の遺言に従い、”石”を返すため、北海道を訪れる大学生の白木恭介。 無人駅の駅寝も厭わない鉄道オタクの吉井悠司。 この二人のそれぞれの旅の途中で、「狩勝の裏金」「イフケ集落一家惨殺事件」に巻き込まれ、出会い、反目するも協力して窮地を脱していくミステリー。 …

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書評 第39回小説推理新人賞奨励賞「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」

第39回(2017年)小説推理新人賞奨励賞受賞作 「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」 木江 恭 中学の美術教師・赤沢洋司52歳が死亡しているのが見つかります。遺書とUSBメモリがそばに残されていて、警察は自殺との判断に傾いています。 それを追う若手女性刑事・優希は、偶然見つけた写真投稿のSNSで、赤沢が女子生徒の写真をアップしているのを知っています。しかし、それを捜査本部に報告でき…

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書評 第33回太宰治賞「タンゴ・イン・ザ・ダーク」

第33回(2017年)太宰治賞受賞作 「タンゴ・イン・ザ・ダーク」 サクラ・ヒロ 知り合って5年。結婚して3年。妻の「K」は天ぷらを揚げていて、やけどをし、顔を夫に見られたくないために地下室にこもってしまう。市役所に勤める夫「僕」は「まあ、女心とはそういうものかもしれない」と自分を納得させます。 風変りな女だが頭は良く、プログラミングの腕も一流で、地下にこもりながらもスマホゲームの…

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第9回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞 『神の手廻しオルガン』

第9回(2017年)ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞 『神の手廻しオルガン』 須田狗一 ナチスドイツの「金髪の野獣」ラインハルト・ハイドリヒの暗殺、現代日本で起きた猟奇殺人、同じく現代のポーランドで起きた殺人事件。時間と空間を超えた舞台設定は島田荘司の名著を彷彿とさせ、「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」に応募した著者の選択のよさに感心しました。 もちろん選考委員の好みその…

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書評 第24回松本清張賞 『明治乙女物語』

第24回(2017年)松本清張賞受賞作 『明治乙女物語』 滝沢志郎 高等師範学校女子部の夏は、すらりとした長身で美貌、成績も首位の咲にあこがれると同時に、平凡な自分にややうんざりしています。同室の後輩、みねは勉強よりも手芸にうちこみ、キンはいちばん若く、おちゃめ。 この4人の群像劇に、高等師範学校の女生徒が踊る夜、鹿鳴館に爆弾を仕掛ける予告が届くというサスペンスミステリーに仕立てま…

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書評 第9回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作 『さようなら、お母さん』

第9回(2016年)ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作受賞作 『さようなら、お母さん』 北里紗月 教育熱心な母の管理下で育った兄と、小学校受験に失敗した妹の玲央。玲央は母に徹底的に無視され、それに耐えかね、兄の援護もあり、大学入学を機に独り暮らしをしています。 その兄が、原因不明の、指先から広がる腫れと灼熱感、モルヒネも効かない痛みと苦しみの中、自殺します。献身的に看病を続け…

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書評 第15回「このミステリーがすごい!」大賞隠し玉 『愚者のスプーンは曲がる』

第15回(2016年度)「このミステリーがすごい!」大賞隠し玉 『愚者のスプーンは曲がる』 桐山徹也 地方から大学進学とともに東京に出てきたばかりの町田瞬は、スーツの男と赤いハーフコートの女に殺されかけます。しかし、すんでのところで命拾いします。 なぜなら、彼は超能力者の能力とその代償を消す能力を持つ特技(?)を持っていたから。 この設定には笑えるとともに、なるほどよく考えた…

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書評 第122回文學界新人賞 「影裏」

第122回(2017年)文學界新人賞受賞作 「影裏」 沼田真佑 久しぶりに文學界新人賞から大型新人作家が誕生しました。 東京から岩手に転勤してきた「わたしこと今野」は、釣りと酒という共通の趣味を持つ会社の同僚日浅と出会います。二人でつるみ、あちらこちらの川で魚を釣り、一升瓶を空ける日々を送っています。 ところが、何の前触れもなく、日浅が退職してしまい、今野は喪失感を抱えたまま…

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書評 第60回群像新人文学賞優秀作「独舞」

第60回(2017年)群像新人文学賞優秀作 「独舞」 李 琴峰(り ことみ) 台湾出身で日本で働く趙紀恵は、レズビアン。本名は名乗らず、日本風に名前を変え、日本で居場所を作りつつも、過去にとらわれています。 初めてつきあった大切な小雪との恋愛を、自分のレイプ事件を発端としてダメにしてしまい、台湾での大学生活からも何も得ることがなく、日本に逃走します。 とにかく過剰な出来事…

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書評 第8回朝日時代小説大賞最終候補作 『花天の力士』

第8回(2016年)朝日時代小説大賞最終候補作 『花天の力士(ちからびと) 天下分け目の相撲合戦』 天野行人 平安時代、藤原道長と藤原顕光はそれぞれ最強の相撲人による相撲節会に挑みます。顕光は異能の相撲人を用意し、それに対抗するために、道長は安倍清明と渡辺綱に大陸渡来人が住む秋篠の里に、相撲人を探しに行かせます。 奇しくも、顕光側の相撲人は当麻蹴速、道長側は野見宿彌それぞれの子孫。…

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