書評 第24回日本ホラー小説大賞読者賞『ハラサキ』

第24回(2017年)日本ホラー小説大賞読者賞受賞作 『ハラサキ』 野城 亮 結婚を機に、幼少期の記憶がない故郷に里帰りする百﨑日向。途中で小学校時代の友人に再会するも、記憶がないことを言い出しにくく、彼女の言うなりに卒業した小学校に立ち寄ることになります。 その後、旅館を営んでいるはずの両親は、いないばかりではなく、家業は廃業していたことがわかります。その時、近所の商店から火が出…

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書評 第7回アガサ・クリスティー賞優秀賞『殺生関白の蜘蛛』

第7回(2017年)アガサ・クリスティー賞優秀賞受賞作 『殺生関白の蜘蛛』 日野真人 元松永弾正の家臣で、豊臣秀次の臣となっている舞兵庫(前野忠康)は、秀吉と秀次双方から「平蜘蛛」と呼ばれる茶釜を探せと命を受けます。松永弾正を裏切ったことのある兵庫に対しての試みでもあり、兵庫にしてみれば平蜘蛛が見つかった場合、どちらに差し出すかという選択を迫られる事態に。 この平蜘蛛がキリスト教に…

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書評 第3回本のサナギ賞優秀賞『ロンリー・プラネット』

第3回(2017年)本のサナギ賞優秀賞受賞作 『ロンリー・プラネット』 雄太郎 生きにくさを感じているエンジニアの桑田は、IT長者が建てた独身者専用マンション「ロンリー・プラネット」に、入居資格の40歳と同時に入居します。しかしここは数回の殺人事件が起きています。 このロンリー・プラネットの生活が一種のユートピアに思えてきます。3000人の入居者は適度な距離を保ち、さまざまな管理は…

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書評 第37回横溝正史ミステリ大賞奨励賞『声も出せずに死んだんだ』

第37回(2017年)横溝正史ミステリ大賞奨励賞受賞作 『声も出せずに死んだんだ』 長谷川 也 19歳の吉永千裕はネット上のキャラクター・レオナを復活させるべく、ある計画を立てます。そのためにはレオナの身代わりの女性が必要で、その女性を誘拐します。 まずレオナという存在がわかりにくい。外見とわずかな設定が決まっているだけで、あとはネット上でみんなが勝手に小説を書いているそうです。「…

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書評 第14回ミステリーズ!新人賞「未知との遭遇」

第14回(2017年)ミステリーズ!新人賞優秀賞受賞作 「未知との遭遇」 丹野文月 ひと月前に49歳の若さで逝った兄弟子・朱紋の弟子3人を引き受けるように、師匠から申し渡された紋蝶。京大卒、投資会社サラリーマン経験という異色の落語家の紋蝶は、41歳になっても落語に対して自信が持てません。朱紋が闘病のためキャンセルした大舞台を任される実力はあり、弟子もとってもおかしくはないのですが……。 …

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書評 第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞『悪い夏』

第37回(2017年)横溝正史ミステリ大賞優秀賞 『悪い夏』 染井為人 生活保護費の不正受給をテーマの一つに、等身大の登場人物たちで描く群像劇。 市役所に勤める佐々木守26歳は、社会福祉課の ケースワーカー。生活保護受給者の元を訪ねて、生活基盤の構築を促し、社会復帰させるのもひとつの業務です。 不正受給者には受給停止を申し付けるため、市民の生死をも左右する仕事です。同僚高野は…

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書評 第7回アガサ・クリスティー賞『窓から見える最初のもの』

第7回(2017年)アガサ・クリスティー賞受賞作 『窓から見える最初のもの』 村木美涼 4つの群像劇がある出来事に結節していく意欲作です。 半島の先にある心療内科に通う短大生の相沢ふたばは、クリニックで大学生の湯本守と知り合います。3回だけ言葉を交わした彼は、ふっつりと姿を消してしまい、クリニックの看護師に尋ねても誰も知らないといいます。 壁紙販売会社社長の藤倉一博は、美術鑑…

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書評 第97回オール讀物新人賞 「新芽」

第97回(2017年)オール讀物新人賞受賞作 「新芽」 三本雅彦 明治維新によって、仕える釜形藩が廃藩したために武士の身分を失った涌井鏡介は、床屋に弟子入りします。刀を鋏に持ち変えて、生きていこうと決意します。 見よう見まねで床屋修行に入った鏡介は失敗をしながら、時に怠け心を抱きながらも、生まれてくる子のためにも早く一人前の散髪屋になるべく毎日を送ります。 その折にかつて剣を…

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書評 第3回本のサナギ賞『君のことを想う私の、私を愛する君。』

第3回(2017年)本のサナギ賞受賞作 『君のことを想う私の、私を愛する君。』 佐木隆臣 2114年、彩乃は小笠原霧恵となって蘇ります。2017年12月に死んだ彼女は、この時代の魂を移植する技術によって生まれ変わったのです。 霧恵は生後3か月の娘・梢を残して、30歳で亡くなったのですが、彩乃もまた生後2か月の娘を残して事故死した28歳です。 身体は霧恵ですが、心や魂は彩乃のま…

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書評 第41回すばる文学賞佳作「遊ぶ幽霊」

第41回すばる文学賞佳作受賞作  「遊ぶ幽霊」 兎束まいこ 死んでいる兄弟が本を読み続ける物語。 静かな屋敷で日がな一日本を読み、おなかがすけば食べ、読む本が尽きると本屋に行きます。 兄の柾木は箸で紙魚をつぶし、捨てます。それを弟は拾って屑籠に捨てます。そして、時に子どもに還ってしまいます。ややファンタジーめいた小説です。 お金は蔵の箪笥の一番上に引き出しに毎朝たくさん…

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