『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』 輪渡颯介
地方の藩に流れる怪談の数々。 ぞっとするような話をいくつも披露していきますが しかしそれは藩政に絡む暗殺の隠れ蓑というのがユニーク。 アイディアが活きています。 探偵役の浪人平松左門のキャラクターはいいのですが この時代に侍が町人を長屋にあげてともに酒を飲む、 というのはあり得ないので そこも左門のキャラクターの異様性として強調すべきでした。 それが書かれていれば、より個性的な探偵ができあがったと思います。 これは町人と侍の会話などにも現れていて 身分の違いの大きさを著者が理解していないことが露呈しています。 時代小説としてはやや見劣りしました。 また士分同士の会話や物語展開が一本調子。 この文章力はさらに勉強しないと厳しいものを感じます。 最後に左門の本当の姿が明かされますが その名前を探してしまったほど、物語はおもしろい。 時代小説よりも一般的なミステリーを読んでみたい。 |
『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』
輪渡颯介



輪渡颯介



