「虹と観覧車と白いうさぎ」を改題 「うさぎパン」 瀧羽麻子
ティーンエイジャーの繊細な心の動きを追う小説ですが その心や行動がふわふわとしていて 独特の感触を抱かせます。 継母のミドリさんと暮らす優子は高校1年生。 3歳から育ててもらっている継母とはとても気が合い 血の繋がっている父親よりもずっと仲がいい。 ミドリさんにつらくあたる祖母にも 反発心を抱いています。 優子には夏休みに家庭教師の美和がやってくる。 美和もまたふわふわとした女性なのだが 外見とは違い、頭がよく、教え方もうまかった。 なにより優子と気があっています。 後半、死んだ母親聡子が美和にとりつき びっくりさせられました。 大人の思惑を知ったり、富田くんとの恋を経験したり、 優子の心にしっかりとしたなにかを残していく。 富田くんとの気持ちのすれ違いがうまい。 また美和とその恋人の村上との会話もいい。 ただ聡子が出てきてからミドリの存在が希薄になってしまったり 父親を含めた三角関係などもきれいごとすぎます。 それが残念。 奥深さはないのですが、ガジェットとしてのうさぎをうまく使い、 ふんわりとした印象で上手にまとめています。 |
『うさぎパン』
瀧羽麻子



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