「オブ・ザ・ベースボール」 円城塔
アメリカのとある田舎町には人が降ってくる。1年に1度あるかないかの珍事だが、そのためのレスキュー・チームが組まれている。 主人公の男は新入りの背番号4番。野球に見立てたチーム編成とレスキュー体制で、街は対応をしている。「ファウルズ」という街自体が、一度としてヒットを飛ばしたことのない田舎町だ。 なぜ人が降るかを、さまざまに分析しているが、時空間やメトリック、エルンスト・マッハの思考実験など平凡。それよりもなぜ「野球」なのかをもっと分析したり、奥深く描くほうがおもしろいと思う。 ただ、ロジカルさと土着性、完成された文体は悪くない。しかし、どこかで読んだ物語をつぎはぎした感は否めない。 |

『オブ・ザ・ベースボール』
円城塔




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