『NO推理、NO探偵?』 柾木政宗
本格ミステリ探偵を自認する美女子高校生アイの高尚な推理がウケないと悟った助手のユウは、アイを有名的な探偵に押し上げるべく、推理を禁じます。同時にアイが解決した事件の犯人に催眠術をかけられて、アイは推理能力を奪われます。 「有名な探偵」を意識した言動を繰り返すアイとユウ。つまり、アイもユウもこれは小説という枠内の世界であることを認識しています。そこからメタ的な発想、言動が繰り広げられます。 日常の謎、アクションミステリ、旅情ミステリ、エロミスと4つのテイストの事件を、推理ではなく、力技で解決する女子高校生コンビのテンションと展開にあまりついていけませんでした。軽い文章が続くのでさらさら読めるはずなのに、途中でめげてしまい……を繰り返し、読むのにずいぶん時間がかかってしまいました。 ハマればハマるのでしょうか。 著者はミステリーをそれなりに読んできているし、好きなのでしょうけれど、発想やそこから表出された小説は素人考えを脱出していないと感じられました。本格推理が書けると最終話で証明していても、つらいものがあります。 次作もこのようなノリやテイストのミステリだとしたら、生き残っていくのは難しいのではないでしょうか。バカっぽいノリは書きやすいので、もっと上手な人がでてきたら、おしまいのような気がします。 |