『誰かが見ている』 宮西真冬
| 異色のメフィスト賞受賞作でとても興味深く、またストーリーにのめりこんで読みました。 ブログのなかで「あこがれの存在でいたい」千夏子は、保育園に通う子ども愛せないことで悩み、摂食障害になります。 仕事に疲れた保育士の春花は、理想のフィアンセと巡り合います。 百貨店のブティックに勤める結子は子どもがほしいのですが、年下の夫とはセックスレス。 タワーマンションに住む柚季は一見穏やかな生活を営んでいるように見えますが、何者かから逃げています。 4組の夫婦や恋人間の擦れ違いや、思惑通りにいかない人生を、高いリーダビリティで描き出します。先々が気になって、本をめくる手がとまりませんでした。 誰にもすごく共感できる、というわけではないのですが、等身大の登場人物たちで、どこかに必ずいるし、自分のなかにもあると思います。 それを丁寧に描き、また登場する女性たちを混同することなく読ませます。それに比べて、男性の身勝手さが際立ちます。女性からすると、本当にそうだなと思うことばかりです。 ただもう少し筆力がついてくると、千夏子の異常さが途中からひしひしと読者にわかるように描けるかなと思います。この描写では、子どもの夏紀を正面から描くまで、一方的に子どもに否があるようにしか読めません。本当にもう一歩のところなのですが、とても残念です。 このような心理サスペンスがメフィスト賞から生まれるのは珍しく、新しいメフィスト作家の誕生を実感しました。次作にも期待がかかります。 |
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