書評 第8回日経小説大賞『姥捨て山繁盛記』

第8回(2016年)日経小説大賞受賞作
『姥捨て山繁盛記』 太田俊明

日経小説大賞も年々軽くなっていきますね。

タイトルも内容を表わし過ぎて、本を開く前から読んだような気になりますし、物語も予定調和でサプライズが全くありません。

物語展開ありきの人物設定で、残念でした。

昭和30年代に大きな水害によって祖父、母、弟、妹を失った桝山太一は、高校から故郷の穂津盆地を出て一人暮らしをし、東京で就職します。家族を呑みこんだ穂津川を見たくない、自分だけが幸せになっては申し訳ないという思いを抱いて。

しかし、平成8年、ワイナリーを経営していた父親が急死し、その跡を継ぐために故郷に帰ります。

一方、現代となり、家電メーカーの人事担当役員だった西澤亮輔は59歳で認知症を患い、会社を早期退職。妻もすでに故人となっていた彼は、山梨県穂津村の介護付き老人ホームで暮らすことになります。そこを終の棲家とするばかりではなく、自殺場所も決めてしまいます。

その時、亮輔は穂津盆地に取り残された小さな村落に足を踏み入れます。穂津盆地はダム建築のため、水没する予定になっています。他の地区の住民は補償金をもらって移住が完了していますが、この地区だけは、高品質のワイン、ジャムなどが都会のセレブ達に人気で、経済的に自立しています。

老人ホームで亮輔と一緒のユニットに暮らすのは、人はいいけど調子もいい鈴木、元総務省官僚の山崎、東京の一流ホテルの料理長を務めた森。そして同じホームにはパン焼き名人の広瀬がいます。

この設定が並んだ30ページで、この後の展開がほぼ読めてしまいます。

ダム問題、天災、老人の活用、限界集落など、現代の社会問題を盛り込んでいるのですが、あまりにも類型的で、あまりにもお手軽に物語が展開します。

登場人物みんながいい人で、能力が高く、スイスイと問題を解決していきます。

特に読む意味を見いだせず、あまりいい読者ではありませんでした。




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