「二人組み」 鴻池留衣
中学三年男子本間の反抗と恋愛をないまぜにして描く心理小説。この作品に対して全く評価できませんでした。 音楽教師の島田への反抗や、無気力でコミュニケーション不全のクラスメイト坂本ちゃんへの性的興味が執拗に描かれ、心理も詳細に説明されます。しかし、説明し過ぎではないでしょうか。 性的興味を恋愛にすりかえ、反抗心を中学生の論理にすりかえ……というのはいいのですが、それを著者がコントロールできていません。できていなくてもいいのですが、それを自覚し、小説がそれによっておもしろくなっているかどうかは確認しなければなりません。 最後は単なる一中学生のよくある話に収れんしてしまい、なんだったのでしょう。あまりいい読者ではありませんでした。 |
📖 「新潮」2016年11月号