2016年11月16日

書評 第40回すばる文学賞 「そういう生き物」

第40回(2016年)すばる文学賞受賞作
「そういう生き物」 春見朔子

平易な中に、細やかな心遣いを感じる文章を紡いでいます。言葉選び、リズム、ガジェットの取り入れ方など、するすると読ませながらも一生懸命さが伝わってきます。

薬剤師のちーちゃんの元に、高校時代の同級生のまゆ子が転がり込んでくる……という同居小説と思ったら、途中で世界を反転させます。そういう繋がりだったのかと思いながらも、自分がちーちゃんだったら……と想像せずにはいられない。このような問題を身近に感じさせる展開がいい。

そしてジェンダー問題を紋切型に押し込めることなく、二人の関係を明るく開かせたのもいい。

少々暗い性格のちーちゃんの人物造形も成功しています。


📖 「すばる」2016年11月号


posted by かつき at 17:21| 新人賞受賞作書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする