「十五秒」 榊林 銘
突然、猟銃で撃たれ、瀕死の状態の「私」の前に、死の使い(?)の猫が現れます。絶命するまでの十五秒間をいかに使うか、という難問を突き付けられます。 犯人は、同じ地域に住む佐奈。精神疾患の母親を抱えて働く若い女性です。語り手は薬剤師で、その母親に処方した薬が原因で母が死んだと思っています。 そこからダイイングメッセージをいかに残すべきかという、今までに読んだことのないミステリーとなります。さらに発展させた展開となるのもおもしろい。 これに並行して、犯人と語り手の間に何があったのかが明らかになります。この人間ドラマがなければ、つまらなかったでしょう。 最後に語り手が変わってしまうのは残念でしたが、読ませるストーリーとなっています。 短編にたくさんの要素を詰め込んでいますが、それらがすべて活きています。最後まで楽しめました。 |
📖 「ミステリーズ!」 vol.74