「鴨川ホルモー」 万城目学
物語設定がユニーク。京都の街に1000年続く戦いの行事「ホルモー」があります。10人ずつでチームを編成し、相手を最後の一人まで倒す。なぜ「ホルモー」なのかは不明。京大、京都産業大学、立命館、龍谷大学にそれぞれその「会」は存在する。 バカバカしいホルモーではあるのですが、なぜかメンバーは辞められない。1年やったらすっぽりとハマりこむ仕掛けは、やはり1000年続いてきただけはある、と読み手を納得させる単純なおもしろさ。 主人公は、京都大学に入学した安倍。高村という帰国子女の友人もできた。しかし、へんなサークルに勧誘され、そこで出会った女性早良京子に一目惚れ。いや、彼女の鼻に一目惚れ。これも伏線となり、物語の重要な役割を果たします。 こののほほんとした貧乏学生安倍が、ホルモー分裂まで起こすのですが、そこにからめる恋愛や友情が緻密に組まれていて、飽きさせない。 設定、登場人物の性格、その役割、ストーリー。すべてがバランスよく組み込まれています。バカバカしいことをまじめにやるおかしみ、笑いをとるおかしみを書き分ける筆力には、新人作家らしからぬ筆力を感じます。 普通は「この新人賞をとった作品だから読んでみよう」と「新人賞ありき」ですが、この「鴨川ホルモー」はボイルド・エッグズ新人賞を一躍有名にしました。そういう意味でも稀有な作品です。 |
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