「かんがえるになりかけ」 近田鳶迩
女友達の胎児に憑依した語り手という設定がユニーク。 しかも語り手はその女友達に殺され、幽霊となっています。 語り手には大切な小学生時代の友人グループがあり そのなかの一人が女友達だということが 徐々にわかってきます。 胎児ですから外界の様子は音でしかわからない。 さまざまな音と会話によって、状況を把握していくにつれ なぜか謎は深まっていきます。 ミスリードで引っ張りつつも、やや強引さがあり 途中で読み返して確認することもありました。 ふと気づくと、本当に「考える人」のポーズで 受賞作を読んでいることに気づき…… 著者の意図通りなのでしょうか。 半分は、稚拙なミスリードが原因というのが なんとも悔しい。 でも意外な結末にスッと胸がすいて そんなこともどうでもよくなります。 読者を騙そうとする創作意欲は買いたい。 |
📖 「ミステリーズ!」 vol.55