史上最年少15歳での受賞で話題になりました。 タイトルのように弾丸のごとく言葉を連ねて、中学1年の「あたし」の日常をつづります。 両親は別居し、父親は若い愛人を引っ張り込み、その愛人はすっかり母親気取りでいます。赤いマニキュアの爪で下手な料理を作り、あたしにあれこれ指図します。 平凡なあたしは、ちょっと落ち込んだ友だちを、ひとこと優しい言葉でフォローするキャラクター。みんなどこか自分を隠し、「なにか」を演じているような自意識が強い思春期を織り込んでいます。けれどささいなことをきっかけに、あたしはハブされ始めます。 不登校を始めたあたしに、教師は理由を問いただしますが、あたしを理解しようとする教師はいません。 なかなか過酷な境遇で言葉を連ねながらも、友だちや教師との間がずれ、その溝が深まっていくのが、状況を見ているかのように理解できます。教師との間には、あたしはエキセントリックな感情を発露させますが、それを汲み取ってくれない、白々した壁のような人の心を、あたしを通じて感じます。 特に秀逸なのは、別居する母親の気持ちが「ちゃんとわからない」こと。 一人称で描かれた小説は、読者をどれだけ主人公の気持ちに沿わせるかということが、ひとつの鍵になります。 この小説では、主人公が別居した母親の気持ちや生活、人生を理解できずに、戸惑い、悲しみます。 その混乱した状態の心が、読者には「ちゃんと理解できる」。新鮮な才能にハッとしました。 |
書評 文藝賞「平成マシンガンズ」
第42回(2005年)文芸賞受賞作「平成マシンガンズ」 三並 夏