『さざなみの国』 勝山海百合
| 不漁と不作のために滅んだ村を出て 父親の元へと赴く「さざなみ」少年を中心とした中華ファンタジー。 いえ、これはファンタジーなのでしょうか。 ずいぶんと甘い評価の大賞作です。 まず「さざなみ」という日本の言葉を主人公の名前にした意図が不明。 それに猫は何のために付いてきたのか。 彼の体そのものが薬というモチーフも 中国の伝奇を読み慣れた者には新鮮に感じられない。 本場の方がもっとグロテスクです。 馬の扱いに長けたさざなみ、 その婚約者で、女性ながら剣の達人の桑折、 馬を愛する皇女とその運命など ずっとおもしろい展開が期待できる要素があるのに ひとつも活かすことなく終盤を迎えます。 中国を舞台にすると、活劇のような派手な言葉が躍るか この作品のように妙な翻訳調の起伏のない言葉になるかという 欠点も気になります。 もっと普通に描けないでしょうか。 褒めるところがひとつもない。 日本ファンタジーノベル大賞にしては珍しく 凡作を選んでしまった印象です。 それだけ応募作のレベルが低かったのでしょう。 来年はこのレベルでの受賞は難しくなると思いますが 受賞のチャンスは大きいと思われます。 |
勝山海百合


