新人賞応募の参考書

新人賞をとるための小説指南書


「文學界」「文藝春秋」「オール讀物」などの編集部で新人賞選考に30数年携わり、多くの芥川賞・直木賞作家を育ててきた元文芸春秋社編集者による小説指南書。絶版になってしまった2008年刊『あなたも作家になれる』を文庫化。現在の新人賞選考や出版業界事情を盛り込んで、改稿されています。
作家デビューするまでの勉強法、新人賞選考の内情、新人賞通過のための条件、プロ作家の現状など、編集部内の話をコラム形式で書いています。特に新人賞通過の条件、冒頭十枚で落される応募原稿(実際は十枚しか読まないということはありません)が勉強になります。エンタメ作品だけではなく、純文学作品にも参考になります。
芥川賞、直木賞の選考にもたずさわり、その選考過程も興味深い。こちらを狙う人も必読。



担当する小説講座から多数の受賞者を輩出している著者による
「新人賞を獲るための実践的小説の書き方」。
現役作家による現在の新人賞や出版社事情などを踏まえた上での
アドバイスが読める貴重な指南書です。
行き詰らない小説の書き方やストーリー優先法など
小説講座のノウハウが公開されています。
特に登場人物の履歴書の作り方が詳細。
類型的な人物にならないように、また小説内でぶれず、
著者の思い通りに動かしているだけにならない人物造形について
学べます。これはジャンルを問わず、勉強になります。
一万枚書けば新人賞を確実に獲れるという法則も納得。
ただし完成させた作品を積み上げての一万枚。
新人賞に応募した後、中間発表まで、予選落ちしたら、
最終選考に残ったらとそれぞれのステージでのやるべきことも。
自分の実力を客観的に判断できるようになり
新人賞受賞が近づくでしょう。



担当する小説講座からはオール読物新人賞、小説宝石新人賞、
ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作など、
多数の受賞者を輩出しています。
2002年の『何がなんでも作家になりたい!』を
パワーアップさせた内容です。
小説家の仕事や年収、メンタルヘルスなどの作家の日常、
出版業界の苦境など、作家として食べることの厳しい現実がわかります。
絶対確実に新人賞を受賞する方法、新人賞の選び方、
小説講座の選び方など、デビューまでの道のりも詳しい。
インターネットの活用と付き合い方なども含めた
小説を書く環境についても参考になります。
またネットで読める時代小説の資料に関する情報は詳細で貴重です。
タイトル通り、本気でエンターテインメント小説家になりたい人は必読です。



新人賞を取るためのキャラクター作りを考える一冊。
選考委員に受けるキャラクター作り、
男女それぞれの読者に受けるキャラクターの違い、
過去受賞作から見るキャラクターの特徴、
ステレオ・タイプにプラスするキャラクター作りなどを
解説しています。
座談会形式なので、脱線が多いのが欠点ですが、
プロットと舞台設定、自分の得意分野から、
設定と動機などからのキャラクター作りは新しい視点が生まれます。
キャラクターの魅力に悩む人には一助になるでしょう。
また新人賞の傾向に関するコラムが充実しています。



新人賞をとることを念頭にしたプロットづくり
(物語設定、おおまかなストーリー展開)を提唱。
小説の冒頭、小説のリアリティ、オリジナリティから
実践的な戦略を立てます。
実例にライトノベル系が多いのがやや難点。
それでも、ありきたりな小説、つまらない小説から抜け出すために
エンタメ系新人賞を狙っている人すべてに読んでほしい。
若桜木虔は小説講座も持っていて
小説現代長編新人賞には第1回奨励賞、第2回大賞と
2年連続で受講生が受賞しています。



個別の新人賞対策ではなく、ライトノベル・ファンタジー、
SF系、歴史・時代小説系、ミステリー・ホラー系、
ノンジャンル・エンターテイメント系といった系統別で
新人賞をとれる小説の要素を上げています。
若桜木虔のメール添削講座の生徒たちとの座談会なので
生徒たちの悩みや質問がリアル。
実際に小説を書く時、新人賞受賞を狙う時の戸惑いに
多くの読者が共感するでしょう。
基本的な小説の書き方についてと、新人賞受賞に関するポイントは
半々といったところですが、やはり新人賞受賞に関する
知識は生半可ではありません。
純文学系以外の新人賞を狙う人は目を通して損はありません。
若桜木虔の小説講座から年に二人くらいのペースで
新人賞受賞作家が出ており、波に乗っています。



雑誌「ダ・ヴィンチ」に掲載された新人賞に
関する記事をまとめた本。
小説の書き方、海外翻訳小説に学ぶ点などの小説作法、
作家による小説指南、作家デビュールートについてなど
バラエティに富んだコンテンツ。
いちばん参考にしたいのは文学賞格付け徹底ガイド。
文学、一般文芸、エンターテイメントから
ライトノベルまでの新人賞について
認知度、注目度、応募総数、出身者の芥川賞・直木賞受賞者数、
受賞後の平均出版冊数、映像化の有無などをポイント化。
新人賞の実力を測っている。
また大森望・豊崎由美による文学賞攻略法は
現状分析は読んで参考にしたいが、対策については
このふたりが編集部に対する影響が大きすぎて
このように書かれたことで変容する可能性あり。
文學界新人賞とメフィスト賞編集部の
新人作家の育て方も参考になる。



10人の新人小説家(伊坂幸太郎・冲方丁・乙一・
垣根涼介・粕谷知世・貴志祐介・新堂冬樹・高野和明・
戸梶圭太・渡瀬草一郎)とのインタビューから
小説の書き方、思考から小説へ、
小説家になるべく努力する姿勢などが読み取れます。
また新人賞選考の裏話や
実際に16歳でデビューした新人作家とのチャットなど
これから新人賞を目指す人には参考になる本。



エンタメ系の新人賞1次選考に通過する小説の書き方を指南。
落選作のどこがダメなのかを具体的に指摘しているのが
他の小説指南書と一線を引きます。
短編、ホラー、歴史、時代小説、SF、ファンタジーの
ジャンル別の要点をわかりやすく解説。
歴史、時代小説の参考資料をあげているのも親切。


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