2006年08月11日

デビューのかたち

新人賞をとる前に どんな小説家になりたいのか 
それを考えましょう。

このブログでは新人賞受賞後も活躍できる
あるいは活躍している作家をたくさん輩出している
新人賞をとりあげています。

もっと取りやすい新人賞はほかにもあると思います。
どれとはいえませんが……。
ただそのような新人賞はその後も小説家として
活躍できるかどうかわかりません。

できればこのブログを読む人は
小説家として一生食べていく人であってほしいのです。

ですからどこからデビューするのか
どんな小説家になりたいのか
というのはとても重要です。

それから小説家になりたい という人は多いです。
けれど 実際に作品を書き上げて 新人賞に応募する人は少ない
と感じています。

このごろ、本の出版部数は減っているのに
新人賞応募作が増えていると言われていますが
それでも「思う人」よりも「実行する人」は少ない。
きっと50%にも満たないと思います。

なぜそうなってしまうのか。

それは未来が見えていないからです。
ただの思いつきでしかないからです。

「小説家になれたらいいなあ」という夢想ではなく
どのようにデビューして どんな小説家になるかが
具体的になると「小説家になる自分」が見えてきます。

今日やるべきことが見えてきます。


小説家の方が、デビューするまでを書いた体験本をピックアップしました。
その方法やモチベーションの保ち方など、参考にしてください。


「ミステリーズ!」連載の「私がデビューしたころ」を再編集。
1949年の土屋隆夫から2006年の大崎梢まで
デビュー年ごとに区分けされ、時代を感じさせます。
新人賞などない時代、中井英夫を紹介され、お宅に伺い、
そのうちデビューしてしまった竹本健治のエピソードには仰天。
新人賞受賞でデビューするスタイルは1980年代に入ってから。
デビュー前後の心理状態、仕事との両立、執筆への不安と迷い、
作家であり続ける努力など、51人それぞれの物語が綴られています。
10分、20分の時間を捻出して、2か月で400枚書いた歌野晶午。
「『誰かにどうにかしてもらって、何となく作家になる』
という考え自体がまちがっている」と気付く松尾由美。
「自分の筆力と書きたいものとを『まずは仲良くさせる』」ことを
続けている柴田よしき。
ライトノベルでヒットもしたけれど、「自分が書くある種のものが、
どうしてもそこから浮いている気がしていた」桜庭一樹。
小説に対する違和感、気づきなどはミステリを志す人以外にも
参考になるエピソードでしょう。



日本大学藝術学部文芸学科ゼミ誌「江古田春秋」に掲載された
作家になるきっかけ、文章修業方法、作家の生活などの
インタビュー記事。インタビュアーは学生です。
森村誠一、佐木隆三、津本煬、阿刀田高、大沢在昌、田辺聖子、
小池真理子、藤田宜永、高木のぶ子、渡辺淳一、赤川次郎、斉木正明、
夏樹静子、浅田次郎、筒井康隆、北方謙三、古川薫、吉岡忍、
瀬戸内寂聴の19人を収録。それぞれの人生で文学の出会いや
デビューするまでの人生、苦労などが語られます。
恋愛小説における大切な要素、短編小説と長編小説の違い、
男性作家と女性作家の違いなど、小説指南書では学べない
生の声が収録されています。
新人賞、芥川賞、直木賞などの選考委員を務める作家が多く
その選考基準やアドバイスも参考になるでしょう。
また、たくさんの締切を抱えながら、今も読書、美術や映画鑑賞、
芸術への興味、人との付き合いなど、自分を豊かにする経験も
大切にしている姿が浮かびあがってきます。
小説家になる努力、小説家であり続ける姿勢を学べる本。



サブタイトルにある「プロになるための方法」ではなく、
作家それぞれの執筆スタイルやデビューまで、
デビューから食べていけるようになるまでのインタビュー本。
志望動機、転機、自分を作家にした経験など
設問に従っての答えで構成されています。
自分を作家にした経験、作家としての短所・長所、執筆のペース、
推敲の仕方などが参考になります。
作家にした経験では、江國香織の「ほかのものになれなかった」
「(職業としてではなく)性質として私はもともと作家だった」が
印象深い。
好きな作家にファンレターを出したら返事をもらったから、
というのもあります。
21人掲載されているので、作家になるまでの悩みや
不安を払しょくする言葉に出合える可能性が高いでしょう。



『君だけの物語』(著:山本ひろし)を改題・加筆改稿して文庫化。
内容は大きく変わりません。
横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞してデビューした山本甲士の
自伝的文章修行物語。小説とは無縁の著者が
プロの作家になるまでの3年間を綴っています。
山本甲士自身が書いてきた修作や
山本ひろし名義で文学賞などに応募した作品をそのまま掲載し、
どんどんうまくなる過程を文章読本として読ませます。
実体験だけに真実に溢れています。



本格ミステリ作家の鯨統一郎が、事実を元に構想して
フィクション化したデビュー物語。
デビューまで16年間の苦節を語ります。
作家を目指すと言いながら
11年目に自分が本気ではなかったと気付き
アイデアノートを整理し、ファイルノートをつけ
読書も怠らず、小説指南書などから勉強し、
執筆のペースも上げていきます。
しかも、その間、本業も転々とします。
仕事の選択、家族の幸せなど現実問題に直面。
極貧生活のなか、作家への夢を諦めなかったからこそ
作家デビューをつかみとります。
働きながら小説家を目指している人は
学ぶことが多いでしょう。
タイトルは目を引くためのキャッチー。
努力なしには作家になれません。



異色の新人作家誕生物語。
ノウハウではなく、小説です。
各社新人賞の最終選考に残っているものの
受賞できない安良川王爾がデビューするまでを
「群像」女性編集者の視線で追います。
花村萬月の実話や新人賞の舞台裏、
群像新人文学賞の選考過程、
小説家志望の困ったクセなどを盛り込み
作家志望者にとって有益な情報となっています。
花村流の的確な表現もおもしろい。
例えば、「小説家はセンスが必要」
しかし、小説家志望はセンス以前に
ファッションでいえば、ジーンズの裾の長さに気付くこと。
「裾の長さに気付かないうちは、競争の場にさえ
あがっていない」といった辛辣な話がたびたび登場します。
かなり耳の痛い話が多いでしょうけれど
その分、デビューに近づくと思います。



エンジン01文化戦略会議の公開講座を採録。
林真理子を司会に、大沢在昌、山本一力のデビューしてから
売れるまでの道のりと、
シナリオライターの中園ミホによる連続ドラマの舞台裏などが
赤裸々に語られています。
「新人賞を取る小説とは」
「売れている小説家はどのくらいいるのか」
「作家になりたい人のではなく、小説を書きたい人が長続きする」
といった本音が盛り込まれています・
小説家に夢を描いている人は一読の価値あり。



パスティーシュ小説という新しい分野を
開拓した清水義範の小説指南書。
小説家デビューまでの10年以上に及ぶ
長い道のりは一言でいえば「下積み時代」。
同人誌、朝日ソノラマ文庫や雑誌に単発で載る、
半村良の弟子(小説の書き方は教えてもらえない)
と浮き沈みが激しい。
読書と、たくさん書くこと、長く書くこと、
完成させることなど地道な執筆活動に
小説のノウハウをプラスしています。
自分が書きたい小説の模索をしている人に。



作家とは、作家の実生活、作家を取り巻く世界など
真実の作家の姿を書いた本です。
「憧れ」や「ベストセラー作家」などといった
雲をつかむようなものではなく
地に足をつけて作家を目指すことが成功への第一歩です。
篠田節子氏、保坂和志氏、上遠野浩平氏、佐野眞一氏、
貫井徳郎氏、大原まり子氏、いしいしんじ氏など
さまざまなジャンルの作家のインタビュー記事、
作家までの歩みが充実しています。

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posted by かつき at 14:40| 新人賞のとり方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする