「キリング・タイム」 蒼井上鷹
休日、上司につかまり飲みに行くハメになる30男の困惑と、その上司のケチ臭さが秀逸。居酒屋のピッチャーは生ビールジョッキ5杯分入っていて、4杯分の値段だとか、焼き鳥の串の分け方など、思わず「いるよな、こういう人」と思わずにはいられない。 このケチな上司が部下の名前を覚えないというキャラクター。ふたりのドタバタした会話文で作品世界に引き込まれる。 しかもミステリーの伏線もあちこちに散りばめられていて、読後、カタルシスを覚える。 うまい。 著者はかなりのミステリーファン。名作ミステリーを参考にしているが、全くそれとは違った世界をもっていて、興味深い作家。 |