「強欲な羊」 美輪和音
ある屋敷の女中「わたくし」のモノローグで 美人姉妹が憎しみ合い、殺害する経緯が明らかになります。 時代かがった語り口は、真相が驚きをもって 少しずつ明かされ、なめらかに進みます。 新人とは思えない筆力を感じました。 しかし、大金持ちの豪華な屋敷、 美しいけれどワガママで、嫉妬深い姉、 清楚で控えめで美しい、病弱な妹という設定。 狼と羊のたとえ。 座敷牢、厳しい祖母、権威ある父親。 どこかで読んだモチーフやガジェットが並びます。 ただ、それらをうまく組み合わせ またムダなガジェットがひとつもないのはすばらしい。 読者を驚かせるタイミングと強弱もいい。 地味ながら、じっくりと読ませるミステリーでした。 |
📖 「ミステリーズ!」 vol.43