朝倉かすみ・宮木あや子・水森サトリの対談
「女性的作家生活。」が掲載されました。
朝倉かすみ
2004年『肝、焼ける』
(現在は小説現代長編新人賞)受賞
宮木あや子
2006年『花宵道中』で「女による女のためのR-18文学賞」大賞と読者賞受賞
水森サトリ
2006年『でかい月だな』で小説すばる新人賞受賞
そのなかから、まず、「新人賞をとるまで」を抜粋します。
宮木 他の賞にも応募しましたけどね。二十歳の時に文藝賞と、二十五くらいの時に太宰賞。で、そのすぐ後に青春文学大賞の第一回目に。初回だからいけると思ったらダメで、その後R-18が二回だから、五回目でデビューですね。水森さんは何回応募しました?
水森 私は小説すばるが初めてなんです。さっきもお話ししたと思うんですけれど、小説が読めない、というのがまずあって、なんとか克服したいと思って、時々書店で「小説すばる」を買っていたんです。最初に手にとったのがたまたま「小説すばる」で。他の小説誌を読んだことがなかったので、他に選択肢がなかった。だから、どうしてこの賞に応募したのか、っていう理由が宮木さんくらいたくさんあると立派だなって思いました。
朝倉 私も小説現代新人賞でデビューしましたけど、それまでいろんなところに応募しました。二〇〇〇年くらいから書くのを再開して、三年くらいあらゆる賞に落ちまくっているんです。一次も通らないの。まさに箸にも棒にもかからなくて、「またハシボウだった」の繰り返しで。こうなったら毎月どこかの賞に出してやる、と送り始めたのが二〇〇三年頃。
(中略 ここで北海道新聞文学賞を受賞した時の話)
朝倉 わかんないよう(笑)。だって他に思い当たることないもん。でも、「このまま」じゃなかったら大きくなれるんだなと思って、受賞式の夜からまた書き始めたんです。
それまでは、自分が純文学かエンターテインメントかどちらに向いているのかもわからなかったんですけど、選評で「近年まれにみる達者な書き手だ」というようなことを言われたんですね。作家に「達者」という評価をされるということは、エンターテインメントのほうが向いているのかなと思って、それ以降はエンターテインメント系の賞に絞って応募しました。
「応募する人へのアドバイス」(抜粋)
水森 アドバイスとか、そんなおこがましいことは何も言えないんですけど、とにかくまずは受賞されるように。受賞された方にはおめでとうと言いたいです。
朝倉 とにかくこっち来いよと。
水森 いえいえ、そんな偉そうなことじゃなくて(笑)。小説を書くのは自転車の運転と同じで、乗れるようになるまでは、人から何をどう説明されてもわからない、体の感覚だと思うんです。だからいつか、こういうことか!ってわかる日が来るといいですねって。
宮木 自分が書いているものを、ジャンルがどうとかだけではなくて、どこまで客観視できるかが大事だと思います。自分が客だったら、金を出してこれを読みたいか、その価値があるかどうかをきちんと見極めた上で、自分に合った文学賞を探すこと。そうすれば近道にはなるんじゃないかな。
朝倉 小説家になりたいとか、小説を書きたいっていう人と話をする機会がなぜか結構あるんですけど、なりたいのに書き出せない人ってすごく多いんですよ。書き出しても最後まで書けないとか。とにかく、どんなものでもいいから、最後まで書く癖をつけた方がいいと思います。で、最後まで書けたら、また新しいのを書き始める。それを最後まで書く。その繰り返しができるかどうかではないかと。まず、それをできるようにすることが大事なような気がします。
(ブログにアップするに当たり、読みやすいように改行を加えています)
このほか、受賞するまでの生活、受賞の知らせを受けた時の気持ち、
受賞後の生活、受賞後第1作を書きあげるまで、
作家になってよかったことなどを語っています。
