女性作家「新人賞」を語る! 朝倉かすみ×宮木あや子×水森サトリ

「小説すばる」2009年12月号に
朝倉かすみ・宮木あや子・水森サトリの対談
「女性的作家生活。」が掲載されました。

朝倉かすみ
2004年『肝、焼ける』で小説現代新人賞
(現在は小説現代長編新人賞)受賞

宮木あや子
2006年『花宵道中』「女による女のためのR-18文学賞」大賞と読者賞受賞

水森サトリ
2006年『でかい月だな』小説すばる新人賞受賞

そのなかから、まず、「新人賞をとるまで」を抜粋します。

宮木 他の賞にも応募しましたけどね。二十歳の時に文藝賞と、二十五くらいの時に太宰賞。で、そのすぐ後に青春文学大賞の第一回目に。初回だからいけると思ったらダメで、その後R-18が二回だから、五回目でデビューですね。水森さんは何回応募しました?

水森 私は小説すばるが初めてなんです。さっきもお話ししたと思うんですけれど、小説が読めない、というのがまずあって、なんとか克服したいと思って、時々書店で「小説すばる」を買っていたんです。最初に手にとったのがたまたま「小説すばる」で。他の小説誌を読んだことがなかったので、他に選択肢がなかった。だから、どうしてこの賞に応募したのか、っていう理由が宮木さんくらいたくさんあると立派だなって思いました。

朝倉 私も小説現代新人賞でデビューしましたけど、それまでいろんなところに応募しました。二〇〇〇年くらいから書くのを再開して、三年くらいあらゆる賞に落ちまくっているんです。一次も通らないの。まさに箸にも棒にもかからなくて、「またハシボウだった」の繰り返しで。こうなったら毎月どこかの賞に出してやる、と送り始めたのが二〇〇三年頃。

(中略 ここで北海道新聞文学賞を受賞した時の話)

朝倉 わかんないよう(笑)。だって他に思い当たることないもん。でも、「このまま」じゃなかったら大きくなれるんだなと思って、受賞式の夜からまた書き始めたんです。
 それまでは、自分が純文学かエンターテインメントかどちらに向いているのかもわからなかったんですけど、選評で「近年まれにみる達者な書き手だ」というようなことを言われたんですね。作家に「達者」という評価をされるということは、エンターテインメントのほうが向いているのかなと思って、それ以降はエンターテインメント系の賞に絞って応募しました。


「応募する人へのアドバイス」(抜粋)

水森 アドバイスとか、そんなおこがましいことは何も言えないんですけど、とにかくまずは受賞されるように。受賞された方にはおめでとうと言いたいです。

朝倉 とにかくこっち来いよと。

水森 いえいえ、そんな偉そうなことじゃなくて(笑)。小説を書くのは自転車の運転と同じで、乗れるようになるまでは、人から何をどう説明されてもわからない、体の感覚だと思うんです。だからいつか、こういうことか!ってわかる日が来るといいですねって。

宮木 自分が書いているものを、ジャンルがどうとかだけではなくて、どこまで客観視できるかが大事だと思います。自分が客だったら、金を出してこれを読みたいか、その価値があるかどうかをきちんと見極めた上で、自分に合った文学賞を探すこと。そうすれば近道にはなるんじゃないかな。

朝倉 小説家になりたいとか、小説を書きたいっていう人と話をする機会がなぜか結構あるんですけど、なりたいのに書き出せない人ってすごく多いんですよ。書き出しても最後まで書けないとか。とにかく、どんなものでもいいから、最後まで書く癖をつけた方がいいと思います。で、最後まで書けたら、また新しいのを書き始める。それを最後まで書く。その繰り返しができるかどうかではないかと。まず、それをできるようにすることが大事なような気がします。


(ブログにアップするに当たり、読みやすいように改行を加えています)

このほか、受賞するまでの生活、受賞の知らせを受けた時の気持ち、
受賞後の生活、受賞後第1作を書きあげるまで、
作家になってよかったことなどを語っています。

本「小説すばる」 2009年 12月号より




コンテンツ
作家になる方法
点線新人賞は作家の入口
点線新人賞を選ぶ
点線レベルダウンした新人賞を選ぶ
点線純文学かエンタメか
点線小説を書き続ける
点線小説の上達法
点線作家になるための読書法

新人賞のとり方
点線デビューのかたち
点線選評から学ぶ
点線受賞作から学ぶ
点線新人賞の選考とは
点線一度落選した作品
点線二重投稿は禁止

作家になるための参考書
点線小説指南書 ★★★★★
点線小説指南書 ★★★★
点線文学の参考書
点線長編小説の参考書
点線短編小説の参考書
点線ミステリーの参考書
点線SFの参考書
点線ホラー小説の参考書
点線時代小説の参考書
点線文章の上達法
点線小説の小技
点線お助け辞典
点線新人賞応募の参考書
点線読書案内

原稿用紙の書き方
点線書き方の注意
点線漢字とルビ
点線誤字脱字・変換ミス
点線カタカナ表記
点線ひらがな・漢字表記統一

応募原稿の送り方
点線原稿の印刷
点線原稿の綴じ方
点線ページ数の数え方
点線梗概の書き方
点線職歴・略歴の書き方
点線絶対に守ること

作家のデビュー話

このブログについて


文学系新人賞情報
点線文學界新人賞
点線群像新人文学賞
点線新潮新人賞
点線すばる文学賞
点線太宰治賞
点線文藝賞

ノンジャンル系新人賞情報
点線日経小説大賞

エンタメ系新人賞情報
点線女による女のためのR-18賞
点線オール讀物新人賞
点線大藪春彦新人賞
点線バディ小説大賞
点線坊ちゃん文学賞
点線野性時代フロンティア文学賞
点線ボイルドエッグズ新人賞
点線小説すばる新人賞
点線ポプラ社小説新人賞
点線本のサナギ賞
点線小説現代長編新人賞
点線小学館文庫小説賞
点線角川春樹小説賞
点線松本清張賞
点線メフィスト賞
点線警察小説大賞

ミステリー系新人賞情報
点線小説推理新人賞
点線ミステリーズ! 新人賞
点線横溝正史ミステリ&ホラー大賞
点線江戸川乱歩賞
点線日本ミステリー文学大賞新人賞
点線ばらのまち福山ミステリー文学新人賞
点線新潮ミステリー大賞
点線鮎川哲也賞
点線「このミステリーがすごい!」大賞
点線アガサ・クリスティー賞

SF系新人賞情報
点線創元SF短編賞
点線ハヤカワSFコンテスト

ファンタジー系新人賞情報
点線日本ファンタジーノベル大賞
点線創元ファンタジイ新人賞

時代小説新人賞情報
点線朝日時代小説大賞