『地図男』 真藤順丈
2008年度、ダ・ヴィンチ文学賞大賞、日本ホラー小説大賞大賞、 ポプラ社小説大賞特別賞、電撃小説大賞銀賞を受賞した真藤順丈。 残念ながら、この作品はこのダ・ヴィンチ文学賞の枚数、 100~200枚に収まる物語ではないような気がしました。 地図帳を持ち歩き、そこに物語を書きつける男が主人公。 つまり、彼は自分の持ち物の中に物語を持ち歩いています。 首都圏を歩き回りながら、決して、現実の世界にマーキングせず、 自分の世界の中に閉じこもっています。 書きこまれた物語は、アイディアが面白いと思うのですが どこかで読んだような話をひねっただけのような感じ。 『庵堂三兄弟の聖職』や『RANK』に比べると物語性が幼い。 ラストのカタルシスも著者だけがおもしろがっています。 文体もこなれていなくて、安定感がない。 著者は1年間、1か月に1作品ずつ仕上げて、 できたものから新人賞に応募したそうですが、 この作品は初期に書かれたのかもしれません。 その筆力が『庵堂三兄弟~』までアップしたとすれば、 量産する意義は大きい。 |
真藤順丈



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