「ミクマリ」 窪美澄
| この新人賞はひょっこりと、ものすごい力のある女性が デビューするので、目が離せません。 今回の窪美澄も、男子高校生の目線で女の営みを 力強く描き出しています。 彼は、12歳年上のアニメのコスプレフェチ女の あんずとのセックスが日常。 エログロで、性欲に任せて溺れているものの、 彼を現実に引き戻すのが、実家の家業「助産院」。 そこで女手一つで息子を育てながら 24時間休みなく働き続ける母親がいて、 必死に子どもを産む女たちがいます。 全体のプロットもよく考えられていて、安定感があります。 特に、出産の逞しさをラストに持ってきたのが秀逸。 あんずとのバカバカしいセックスも思い出も吹き飛ばしてしまいます。 母親の「ぜんぶのこども。これから生まれてくる子も、 生まれてこられなかった子も。生きている子も死んだ子も」 というセリフがいい。あんずの過去を暗示し、全部を包んでしまう。 今まで、この新人賞は「セックスをする女」が主役だったのですが この作品では「生む女」「それを手助けする女」に移り、 より深い味わいを残します。 |
窪 美澄
